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現地調査と測量|境界・公共施設・放流先・地盤を確かめる

現地調査と測量は、設計の前提になる「いまの土地の姿」を確かめる段階です。開発区域の境界、地形、接する道路や水路、雨水を流す先、がけや既存の擁壁、地盤の状態を、図面だけでなく現地で確かめます。

ここで集めた情報は、申請の設計図(現況図・造成計画断面図・がけの断面図など)と、第32条の協議、排水と造成の設計にそのまま使います。調べ漏れがあると、協議の途中で放流先が使えないと分かったり、境界が決まらず面積が確定しなかったりします。この頁では、調べることを項目ごとに、申請図書のどこに使うかと合わせて解説します。

この段階の位置づけ
法定の手続きか
法定の手続きではない。結果は、施行規則第16条の設計図(現況図など)と、第33条の基準を満たす設計の前提になる
相手
土地の所有者と隣接地の所有者、道路・水路・下水道の管理者、地盤調査の担当
主な成果
現況測量図と境界の確定の記録、公共施設と放流先の調査の記録、地盤調査の結果、権利者の一覧
目次

調べることと、使う先

調べること中身使う先
地形と現況等高線(現況図は2mの標高差)、土地の利用、建物・工作物、樹木現況図、造成計画断面図
開発区域の境界隣接地との境界、道路や水路との官民境界開発区域区域図、面積の確定、設計説明書
接する道路管理者、幅員、舗装、交差点との位置関係道路の設計、第32条の同意
水路・下水道と放流先管理者、断面と流れる量、下流のどこへつながるか排水施設の設計、第32条の同意
がけ・既存の擁壁高さ・勾配・土質、擁壁の構造と変状がけの断面図、擁壁の設計
地盤土質、地下水位、軟弱な層の有無と厚さ造成と擁壁の設計(第33条第1項第7号)
樹木と表土(1ha以上)高さ10m以上の健全な樹木や樹木の集団、切土・盛土をする部分の表土現況図、樹木の保存・表土の保全の計画
土地の権利者所有権・借地権・抵当権などを持つ者相当数の同意の書類

境界の確定:面積と区域図のよりどころ

開発区域の面積は、許可が要るかの判断(施行令第19条の面積)や、公園の面積の割合など、設計の基準の多くにかかわります。境界が決まらないと面積も決まらないので、早めに隣接地の所有者と道路・水路の管理者の立ち会いを調整します。

道路や水路との官民境界は、管理者との協議が要ります。開発区域に関係がある道路や水路の管理者は、第32条の同意の相手でもあるので、境界の確定と同意の協議を並行して進めると、行き来が減ります。

接する道路と水路:管理者と能力を確かめる

開発区域の道路をどの道路につなぐか、雨水をどこへ流すかは、計画の骨組みを決めます。施行令は、排水施設を放流先の排水能力や利水の状況を勘案して接続するよう求めています(施行令第26条第2号)。放流先が小さい水路なら、その断面と流れる量を現地で測り、下流で溢れないかを確かめます。

  • 道路と水路の管理者(道路台帳・下水道台帳、市町村への問い合わせ)
  • 接続する道路の幅員と、区域の中の道路をつなぐ位置
  • 放流先の水路・河川の名称(排水施設計画平面図に書く)と、断面・勾配・流れる量
  • 放流先の下流に、狭い所や溢れた跡がないか
  • 農業用の水路なら、利水の状況と、水利の関係者

がけと既存の擁壁:設計の条件と、残すかどうかの判断

開発区域の中や周りのがけは、高さ・勾配・土質を測ります。申請の「がけの断面図」は、切土で高さ2mを超えるがけ、盛土で高さ1mを超えるがけなどについて、がけの高さ・勾配・土質を示すものです(施行規則第16条第4項の表)。

既存の擁壁を残して使うなら、構造と変状(ひび割れ・傾き・はらみ・水抜き穴のつまり)を確かめ、安全かどうかを判断する材料を集めます。構造の分からない擁壁は、安全であることを示す資料が無いと、宅地の安全のよりどころとして説明しにくくなります。残すか、つくり直すかの方針を、設計に入る前に決めておきましょう。

地盤:軟弱な層と地下水を確かめる

第33条第1項第7号は、地盤の沈下や崖崩れを防ぐため、地盤の改良や擁壁・排水施設の設置などの措置を求めています。施行令第28条は、地盤の沈下や区域の外の地盤の隆起が生じないよう、土の置換えや水抜きなどの措置を求めています(第1号)。軟弱な層がありそうな土地は、ボーリングやサウンディングで層の厚さと強さを確かめ、盛土や擁壁の設計の条件にします。

軟弱地盤の調べ方と、解析の進め方は、関連サイトの軟弱地盤技術解析業務の教科書で解説しています。

土地の権利者:相当数の同意の準備

第33条第1項第14号は、開発行為の妨げとなる権利を持つ者の相当数の同意を求めています。登記の記録で、開発区域と工事をする土地の所有権・借地権・抵当権などを持つ者を一覧にします。国の運用指針は、相当数の同意をおおむね3分の2以上(人数と地積の両方)としています(開発許可制度運用指針 Ⅰ-5-11)。詳しくは開発許可申請の頁で解説します。

まとめ

現地調査と測量では、境界・地形・接する道路と水路・放流先・がけと擁壁・地盤・権利者を確かめ、設計と協議の前提をそろえます。

  • 境界と面積は、許可の要否と設計の基準のよりどころ。立ち会いは早めに調整する
  • 放流先は名称・断面・流れる量と、下流の状況まで確かめる
  • がけと既存の擁壁は、申請のがけの断面図と、残すかつくり直すかの判断に使う
  • 軟弱な層の有無は、造成と擁壁の設計の条件になる

参考にした法令・資料

  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)第32条、第33条第1項第3号・第7号・第14号(e-Gov 法令検索)
  • 都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第19条、第26条、第28条、第28条の2(e-Gov 法令検索)
  • 都市計画法施行規則(昭和44年建設省令第49号)第16条第4項(e-Gov 法令検索)
  • 国土交通省「開発許可制度運用指針」(最終改正 令和7年3月19日 国都計第193号)Ⅰ-5-11(国土交通省の掲載PDF)
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この記事を書いた人

土質 太郎のアバター 土質 太郎 地盤技術者

建設コンサルタントに長年従事しています。開発許可の申請で設計者が受け持つ調査・協議・設計・検査の進め方を、手続きの流れに沿って解説しています。

■保有資格
・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士