工事中の手続き|変更・中間検査・定期報告・廃止・建築制限
開発許可を受けて工事に入ったあとも、手続きは続きます。計画を変えるときは変更の許可か届出、盛土規制法の区域では中間検査と定期の報告、工事をやめるときは廃止の届出が要ります。工事完了の公告があるまでは、原則として建築物を建てられません。
設計者が関わるのは、主に計画の変更です。現場の状況で設計を変えるとき、その変更が許可の要るものか、届出で足りる軽微な変更かを見分け、変更の図書をつくります。この頁では、変更の許可と届出の見分け方、盛土規制法の手続き、廃止と承継、建築の制限を、工事中に起きる順に解説します。
- 根拠の条文
- 都市計画法 第35条の2・第37条・第38条・第44条・第45条、施行規則 第28条の2〜第28条の4・第32条。盛土規制法の区域では、盛土規制法 第16条・第18条・第19条・第35条・第37条・第38条・第49条
- 相手
- 開発許可の窓口(変更・廃止・承継)、盛土規制法の窓口(中間検査・定期の報告)
- 設計者がすること
- 変更が許可か届出かを見分ける、変更の図書をつくる、変更が公共施設にかかるなら第32条の協議と同意をやり直す、中間検査の時期を施工者と合わせる
- 主な成果
- 変更の許可・変更の届出の控え、中間検査合格証、定期の報告の控え
計画を変えるときは、変更の許可か、軽微な変更の届出
開発許可を受けた者が、申請書に書いた事項(第30条第1項各号)を変えるときは、変更の許可が要ります(第35条の2第1項)。申請書に書いた事項とは、開発区域の位置・区域・規模、予定建築物等の用途、設計、工事施行者と、施行規則第15条の事項です。ただし、国土交通省令で定める軽微な変更は許可が要らず、変更したあとに遅滞なく届け出ます(同条第3項)。
軽微な変更は、施行規則第28条の4の3つだけです。ここに当たらない変更は、変更の許可を受けてから工事をします。
| 軽微な変更(届出で足りる) | ただし、次の場合は変更の許可が要る |
|---|---|
| 設計のうち、予定建築物等の敷地の形状の変更 | 敷地の規模の10分の1以上の増減を伴うもの。住宅以外の建築物などの敷地の規模が増え、1,000m²以上になるもの |
| 工事施行者の変更 | 自己の居住用・自己の業務用以外の開発行為(自己用でも、盛土規制法の許可が要る工事と、1ha以上の自己の業務用を含む)では、届出で足りるのは工事施行者の氏名・名称・住所の変更だけ。工事施行者を替えるときは変更の許可が要る |
| 工事の着手予定年月日・完了予定年月日の変更 | ― |
道路の幅員、排水施設の断面、擁壁の構造などの設計の変更は、敷地の形状の変更に当たらないので、変更の許可が要ります。現場で寸法を変えたくなったら、施工の前に許可の要否を窓口と確かめましょう。
変更の許可の申請で出すもの
変更の許可の申請書には、変更に係る事項・変更の理由・開発許可の許可番号を書きます(施行規則第28条の2)。添付するのは、申請のときの図書のうち、変更によって内容が変わるものです(施行規則第28条の3)。変更の許可にも、第33条(市街化調整区域では第34条も)の基準が準用されます(第35条の2第4項)。
公共施設にかかる変更は、第32条の協議と同意をやり直す
開発行為に関係がある公共施設や、新しく設ける公共施設に関する事項を変えるときは、第32条の規定が準用されます(第35条の2第4項)。道路の接続の位置や排水の放流先を変えるなら、管理者との協議と同意をやり直してから、変更の許可を申請します。手順は32条の同意と協議の頁と同じです。
盛土規制法の区域では、変更の手続きもみなされる
盛土規制法の許可を受けたものとみなされた工事では、都市計画法第35条の2の変更の許可や届出が、盛土規制法の変更の許可や届出とみなされます(盛土規制法第16条第5項・第35条第5項)。変更の手続きを二重に出す必要はありません。
盛土規制法の区域では、中間検査・定期の報告・標識
盛土規制法の区域で、施行令第23条の大きさを超える盛土や切土をする工事は、開発許可を受けた工事でも次の手続きの対象になります。都市計画法に同じ手続きが無く、みなし規定も無いためです。
- 中間検査:盛土をする前の地盤面か、切土をした後の地盤面に排水施設を設ける工程を終えたら、4日以内に申請する。排水施設の周りを砕石などで埋める工事は、合格証の交付を受けた後でなければできない(盛土規制法第18条・施行令第24条・施行規則第45条)
- 定期の報告:3か月ごとに、盛土・切土の高さ・面積・土量と、擁壁などの工事の状況を、写真を付けて報告する(盛土規制法第19条・施行規則第48条〜第50条)
- 標識:工事主が、許可の番号や工事の内容を書いた標識を現場の見やすい場所に掲げる(盛土規制法第49条・施行規則第87条)
大きさの基準と、みなし規定のある手続き・無い手続きの一覧は、盛土規制法との関係の頁にまとめています。自治体は条例で中間検査の大きさを小さくしたり、検査する工程を足したりできるので(盛土規制法第18条第4項)、事前協議で確かめた条例の内容に沿って工程を組みます。
工事をやめるとき・事業者が替わるとき
| 場面 | 手続き | 条文 |
|---|---|---|
| 工事を廃止した | 遅滞なく、開発行為に関する工事の廃止の届出書(別記様式第8)を出す | 第38条・施行規則第32条 |
| 許可を受けた者が亡くなった・法人が合併した | 相続人などの一般承継人が、許可に基づく地位を承継する | 第44条 |
| 土地や工事をする権原を他の者が取得した | 取得した者が都道府県知事の承認を受けて、許可に基づく地位を承継できる | 第45条 |
工事を途中でやめると、造成の途中の土地が崖や裸地のまま残ることがあります。廃止の届出の前に、残る土地の安全をどう確保するかを窓口と相談しておきましょう。
工事完了の公告までは、原則として建築できない
開発許可を受けた開発区域の中では、工事完了の公告があるまで、建築物を建てられません(第37条)。例外は次の2つです。
- 工事用の仮設建築物を建てるとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき(第1号)
- 第33条第1項第14号の同意をしていない権利者が、その権利の行使として建てるとき(第2号)
事業の日程の都合で建築を早めたいときは、第1号の承認を受けられるかを窓口に相談します。承認の基準は自治体の運用によるので、着工の前に確かめておきましょう。
まとめ
工事中の手続きの中心は、計画の変更です。変更が軽微な変更(施行規則第28条の4の3つ)に当たるかを見分け、当たらなければ変更の許可を受けてから施工します。盛土規制法の区域では、中間検査と定期の報告、標識の掲示を、開発許可の工事でも行います。
- 敷地の形状の変更(10分の1未満など)、工事施行者の変更(自己用以外の開発行為は氏名・名称・住所の変更に限る)、着手・完了の予定日の変更だけが届出で足りる
- 公共施設にかかる変更は、第32条の協議と同意をやり直す
- 中間検査は排水施設を埋める前。終えた日から4日以内に申請する
- 廃止は届出、地位の承継は一般承継なら当然に、土地の取得なら承認を受けて
参考にした法令・資料
- 都市計画法(昭和43年法律第100号)第30条第1項、第35条の2、第37条、第38条、第44条、第45条(e-Gov 法令検索)
- 都市計画法施行規則(昭和44年建設省令第49号)第15条、第28条の2〜第28条の4、第32条(e-Gov 法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号)第16条第5項、第18条、第19条、第35条第5項、第49条(e-Gov 法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(昭和37年政令第16号)第23条、第24条(e-Gov 法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法施行規則(昭和37年建設省令第3号)第45条、第48条〜第50条、第87条(e-Gov 法令検索)

