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事前相談と事前協議|窓口と関係課に計画を示し、条件を固める

事前相談と事前協議は、正式な申請の前に、許可の窓口や関係する課に計画を示して、条件を固める段階です。都市計画法には定めが無く、行うかどうかと中身は、自治体の条例・要綱・細則などで決まります。名前も順番も自治体によって違うので、計画地の自治体の手引きを読むところから始めます。

設計者が受け持つのは、協議に使う計画の資料づくりと、指摘を設計に戻すこと、協議の記録を残すことです。ここで決めた条件が、そのまま設計と第32条の協議、許可申請の前提になります。この頁では、自治体の決まりの実例、事前相談で確かめること、事前協議の進め方、記録の残し方とつまずきやすい点を解説します。

この段階の位置づけ
根拠
法定の手続きではない。自治体の条例・要綱・細則による(国の運用指針は、行政指導としての扱いに触れている:Ⅱ-1(3)・Ⅰ-5-12)
相手
開発許可の窓口、道路・下水道・河川・公園・消防・水道などの関係課、盛土規制法の担当、都道府県が許可する場合は市町村の窓口
設計者がすること
計画の概要と図面をつくる、確かめる事項を一覧にする、指摘を設計に戻す、協議の記録を残す
主な成果
許可の要否と必要な手続きの確認、関係課の条件、事前協議の結果(協議書など)
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事前相談・事前協議は、自治体の決まりで中身が違う

事前相談と事前協議の根拠は、自治体ごとにばらばらです。2つの実例を挙げます(どちらも2026年10月13日時点の内容)。

自治体決まりの形中身の例
大阪府要綱(審査指導課所管事務に係る事前協議制度実施要綱)事前協議を、各法に基づく申請に先立ち、計画の概要について知事と市町村長と協議し、指導を受けることと定めている。事前協議書の有効期間は、返却の日から原則1年(知事が別に定めるものは6か月)。申請書の副本に事前協議書の原本を添える
横浜市開発許可の手引き(手続編)と市の細則開発許可の要否の事前相談を窓口で受ける。細則第3条で、許可の申請の前に、第33条第1項の基準に適合しているかを市と協議できる(第32条の協議と併せて行う場合がある)

同じ自治体でも、開発の規模や区域(市街化区域か市街化調整区域か)で窓口や手続きが分かれていることがあります。手引きは改訂されるので、最新版を窓口のページで確かめましょう。

国の運用指針:行政指導としての扱い

事前協議で求められることの中には、法令の基準ではなく、要綱による行政指導があります。国の運用指針は、行政指導は相手の任意の協力によってのみ実現されるもので、従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしないよう求めています(開発許可制度運用指針 Ⅱ-1(3))。また、これまで要綱で指導してきた制限のうち政省令の基準に合うものは、条例による基準の強化として定めることが適当としています(同 Ⅰ-5-12)。

設計者としては、協議で受けた指摘が「法令や条例の基準」なのか「要綱による指導」なのかを区別して記録しておくと、事業者と方針を決めるときに役立ちます。

事前相談で確かめること

事前相談は、計画の概要を示して、手続きの全体を確かめる場です。事前調査で調べた結果を持って行き、次の事項を確かめます。

  • 開発許可の要否(開発行為に当たるか、区域と面積)と、その判断の根拠
  • 必要な手続きの一覧と順番(事前協議、条例による近隣への説明や標識、第32条の協議の窓口、許可申請の窓口と経由先)
  • 適用される技術基準(施行令・施行規則の基準、条例による強化、自治体の審査基準や手引き)
  • 申請に要る図書と様式・部数(施行規則の設計図のほか、計算書や求積図などを求めるか)
  • 盛土規制法の区域にかかる場合の扱い(みなし許可、中間検査・定期の報告・標識の窓口と様式)
  • 他の法令の手続き(農地・森林・埋蔵文化財・砂防など)と、開発許可との順番
  • 標準処理期間(たとえば横浜市は開発許可で50日と手引きに示している。国の運用指針は、開発審査会の議を経る場合を除き、原則1か月以内が適切としている)

事前協議の進め方

協議の資料をつくる

計画の概要(目的・区域・面積・予定建築物等の用途・戸数など)と、土地利用・道路・排水・造成の計画図をそろえます。協議書の様式と添付資料は、自治体の手引きに従います。

協議を申し出て、関係課の意見を受ける

関係課から条件や指摘が返ってきます。窓口が関係課への照会をまとめるのか、設計者が関係課を回るのかは、自治体の手引きで確かめます。

指摘を設計に戻す

道路と排水と造成は互いに影響するので、1つの指摘で直した点が、ほかの計画に波及しないかを確かめます。

協議を終える

協議の結果を書面で受け取ります。有効期間がある自治体では(大阪府は原則1年)、期間のうちに許可申請まで進める段取りを組みます。

第32条の協議と許可申請へ

事前協議で決まった条件で設計を仕上げ、第32条の同意と協議を済ませてから、許可申請に進みます。第32条の協議を事前協議と並行して進める自治体もあります。

関係課と、主な協議の中身

関係課主な協議の中身かかわる基準
道路区域の道路の幅員と配置、既存の道路への接続の位置と形第33条第1項第2号
下水道・河川・水路雨水と汚水の排出の方法、放流先とその能力、調整池の要否第33条第1項第3号
公園・緑地公園などの面積と位置、引き取ったあとの管理第33条第1項第2号
消防消防に必要な水利(貯水施設など)第33条第1項第2号
水道給水の方法と、想定される需要第33条第1項第4号
盛土規制法の担当技術的基準への適合、中間検査・定期の報告の扱い第33条第1項第7号、盛土規制法

協議の記録の残し方

事前協議は打合せが重なり、担当者が替わることもあります。後から経緯を説明できるよう、協議のたびに次の事項を残しておきましょう。

  • 日付、相手の課と担当者、出席者
  • 協議に使った図面の版(どの計画に対する指摘か)
  • 指摘や条件の中身と、その根拠(法令・条例・要綱・審査基準のどれか)
  • こちらの回答と、設計への反映の方法
  • 決まらずに持ち越した事項と、次に確かめる時期

まとめ

事前相談と事前協議は、自治体の条例・要綱・細則による手続きで、名前も順番も自治体で違います。事前相談で手続きの全体と基準を確かめ、事前協議で関係課の条件を固めてから、第32条の協議と許可申請に進みます。

  • 計画地の自治体の手引き(最新版)を読み、手続きの順番を確かめる
  • 指摘は、法令・条例の基準か、要綱による指導かを区別して記録する
  • 協議の結果に有効期間がある自治体では、期間のうちに申請まで進める
  • 盛土規制法の区域なら、盛土規制法の担当とも協議する

参考にした法令・資料

  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)第32条、第33条第1項(e-Gov 法令検索)
  • 国土交通省「開発許可制度運用指針」(最終改正 令和7年3月19日 国都計第193号)Ⅰ-5-12、Ⅱ-1(1)(3)(国土交通省の掲載PDF)
  • 大阪府「審査指導課所管事務に係る事前協議制度実施要綱」(2026年10月13日に閲覧)(大阪府の掲載PDF)
  • 横浜市「開発許可の手引き 手続編」第2節 事前相談及び事前協議、標準処理期間(2026年10月13日に閲覧)(横浜市の掲載PDF)
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この記事を書いた人

土質 太郎のアバター 土質 太郎 地盤技術者

建設コンサルタントに長年従事しています。開発許可の申請で設計者が受け持つ調査・協議・設計・検査の進め方を、手続きの流れに沿って解説しています。

■保有資格
・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士