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都市計画法違反の罰則と是正命令|無許可の開発・市街化調整区域の違法建築と時効

「開発許可を受けずに造成や建築をしたら、どんな罰則があるの?」

「市街化調整区域の違法建築は、時効後はどうなる?」

「市街化調整区域の家を人に貸すと、違法になるの?」

都市計画法の違反には、罰金などの罰則のほかに、許可権者が是正を命じる監督処分があります。

この記事では、都市計画法の違反と罰則を条文に沿って一覧にし、是正命令・時効・建物を買うときや貸すときの注意点まで解説します。

結論から申しますと、無許可の開発行為や、市街化調整区域での無許可の建築・用途変更は50万円以下の罰金。是正命令に従わないと、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になります。

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都市計画法の違反には「罰則」と「是正命令(監督処分)」の2つがある

都市計画法の違反に対する処分は、刑事手続で科される罰則と、許可権者が違反の是正を命じる監督処分(第81条)の2つがあります。

許可権者とは、開発許可などをする都道府県知事や、指定都市・中核市などの市長を指します。この2つは別の手続きなので、両方を受けることもあります。

項目罰則監督処分(是正命令など)
根拠の条文第91条〜第96条第81条
中身拘禁刑・罰金。届出の違反は過料許可の取消し、工事の停止、建築物の改築・移転・除却などの命令
決まり方拘禁刑・罰金は、刑事手続(起訴と裁判)で科される許可権者が命じる
時効拘禁刑・罰金は、公訴時効3年条文に期間の定めがない

罰則の一覧|無許可の開発・建築・用途変更は50万円以下の罰金

開発許可と建築の制限にかかわる罰則は、次の表のとおりです。

罰則がいちばん重いのは是正命令に従わない場合(第91条)で、許可を受けずに開発・建築・用途変更をしたこと自体は、50万円以下の罰金の対象になります(第92条)。

表の開発行為とは、建築物の建築や特定工作物の建設のために行う、土地の区画形質の変更を指します(第4条第12項)。

違反の内容違反した規定罰則
是正命令(第81条第1項の命令)に従わない第81条第1項1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(第91条)
開発許可を受けずに開発行為をする第29条第1項・第2項50万円以下の罰金(第92条第3号)
変更の許可を受けずに、計画を変えて開発行為をする第35条の2第1項50万円以下の罰金(第92条第3号)
工事完了の公告の前に、建築物を建築する・特定工作物を建設する第37条50万円以下の罰金(第92条第4号)
工事完了の公告の後に、予定建築物等以外の建築物・特定工作物を建てる第42条第1項50万円以下の罰金(第92条第4号)
開発許可で定めた建蔽率などの制限に反して建築する第41条第2項50万円以下の罰金(第92条第5号)
許可を受けずに建築物の用途を変える第42条第1項・第43条第1項50万円以下の罰金(第92条第6号)
市街化調整区域(開発区域の外)で、許可を受けずに建築物を建築する・第一種特定工作物を建設する第43条第1項50万円以下の罰金(第92条第7号)
報告や資料の提出を求められて、出さない・偽る第80条第1項20万円以下の罰金(第93条第2号)
立入検査を拒む・妨げる・忌避する第82条第1項20万円以下の罰金(第93条第3号)
軽微な変更・工事の廃止の届出をしない・偽る第35条の2第3項・第38条20万円以下の過料(第96条)

会社の従業者などが違反すると、会社にも罰金が科される

会社の代表者や従業者などが、会社の業務や財産に関して違反したときは、行為者のほかに、会社(法人)や事業主にも各条の罰金刑が科されます(第94条)。

都市計画法では、会社に科される罰金の上限は各条と同じです。

2025年6月1日から「懲役」は「拘禁刑」に

第91条の刑は、2025年6月1日に「1年以下の懲役」から「1年以下の拘禁刑」へ改められました(令和4年法律第68号)。

是正命令(監督処分)では、工事の停止や建築物の除却まで命じられる

許可権者は、違反した者などに対して、都市計画上必要な限度で、次の処分を行うことができます(第81条第1項)。

  • 許可などを取り消す・変更する・効力を停止する。許可の条件を変える・新たに付ける
  • 工事その他の行為の停止を命じる
  • 相当の期限を定めて、建築物などの改築・移転・除却その他違反を是正するために必要な措置を命じる

命令に従わなければ、第91条の罰則の対象になります。

国の開発許可制度運用指針は、処分の基準を定めるときに例示する監督処分として、建築物の移転命令・使用禁止命令・除却命令や原状回復命令などを挙げています(開発許可制度運用指針 Ⅱ-1(2)②)。

命令すべき者が過失なく分からないときは、許可権者は、あらかじめ公告したうえで、その者の負担で自ら措置を行うことができます(第81条第2項)。

違反を知って買った人・借りた人も、命令の対象になる

監督処分を受けうるのは、違反した本人だけではありません(第81条第1項各号)。

  • 違反した者と、違反を知りながら土地や建物を譲り受けた者・借りるなどして使う権利を得た者(第1号)
  • 違反した工事の注文主と請負人(下請人を含む)、請負契約によらず自ら工事をしている者・した者(第2号)
  • 許可などに付いた条件に違反している者(第3号)
  • 詐欺その他不正な手段で許可などを受けた者(第4号)

開発許可制度運用指針のⅠ-19(1)は、第1号の趣旨を、違反した物件を第三者に譲って監督処分を逃れるのを防ぐためと説明しています。

命令は標識と公報で公示される

許可権者は、命令をしたら、標識の設置と公報への掲載で公示します(第81条第3項、施行規則第59条の2)。

標識は違反した土地や建物の敷地に設置でき、所有者などは設置を拒めません(第81条第4項)。

運用指針は、公示の後に違反物件を譲り受けた者や借りた者について、通常、違反の事実を知っていたことが推定されると考えています(開発許可制度運用指針 Ⅰ-19(3)①)。

なお、命令を出した建築物等を、ウェブサイトで公表している自治体もあります(例:札幌市「監督処分の状況(都市計画法)」)。

命令の前に、弁明や聴聞の機会がある

監督処分は、行政手続法の不利益処分に当たります。

許可の取消しなどは聴聞、ほかの監督処分は弁明の機会の付与の手続きを経て行うと、運用指針は示しています(開発許可制度運用指針 Ⅱ-1(2)③)。

違反した開発行為には、水道などの供給の保留が求められうる

開発許可制度運用指針のⅠ-19(4)は、市街化調整区域で第29条第1項に違反して開発された土地や建物について、水道・電気・ガスの供給の申込みの承諾を保留するよう、許可権者が事業者に要請する場合の留意点を示しています。。

市街化調整区域の違法建築は、買った人・借りた人も是正を求められうる

市街化調整区域のうち開発区域の外では、農業を営む者の住宅など一部の例外を除き、許可を受けずに建築物を新築・改築したり、用途を変えたりできません(第43条第1項)。

開発許可を受けた開発区域の中でも、工事完了の公告の後は、予定建築物等以外の建物を建てることや、用途を変えることが制限されます(第42条第1項)。

違反した建物を、違反と知って買った人や借りた人も、監督処分の対象になります(第81条第1項第1号)。

前の持ち主が建てた建物でも、違反を知って取得していれば、是正を求められることがあります。

自己の居住用の家を貸すと、用途変更の許可が要ることがある

市街化調整区域の住宅には、自己の居住用として許可を受けて建てたものや、農業を営む者の住宅として許可が要らなかったもの(第29条第1項第2号)があります。

こうした住宅を他人に貸すことは、用途の変更として許可の対象になることがあります。

国の運用指針が用途変更の許可の例に挙げるものの1つが、既存集落で自己の居住用の住宅を、移住・定住を促すための賃貸住宅とする場合です(開発許可制度運用指針 Ⅰ-15(1)②)。

また、許可を受けて建てた後に相当期間適正に使われた建物を、所有者の死亡・破産・遠方への転居などのやむを得ない事情で用途変更する場合も、許可の審査の対象としてよいとしています(同 Ⅰ-7-1(20)③)。

相当期間は10年程度を目安とすることが考えられる一方、期間の経過だけで一律に判断しないよう留意を求めています。

許可の要件は自治体で異なります。たとえば佐倉市は、建築から原則10年以上たった自己居住用の住宅を、賃貸用の住宅に変える許可の要件と申請の図書を示しています(例)。

許可を受けずに用途を変えると、第92条第6号の罰則(50万円以下の罰金)の対象になりえます。

貸す前に、建物がどの許可で建てられたか、貸すことが用途の変更に当たるかを許可権者に確かめましょう。

買う前・借りる前に確かめること

市街化調整区域の土地や建物を買う・借りる前に、次の点を確かめましょう。

  • 開発許可を受けた土地なら、開発登録簿で許可の年月日や予定建築物等の用途を見る。登録簿は閲覧でき、写しの交付も受けられる(第47条第1項・第5項)
  • 建物がどの許可で建てられたかを、許可の通知書や、建築基準法の確認済証・検査済証の写しで確かめる
  • 建て替え・増築・用途の変更・人に貸すことを予定しているなら、許可が要るかを許可権者に相談する

建築確認でも、計画が第29条・第43条などに適合しているかが審査されます(建築基準法第6条第1項、施行令第9条第12号)。

確認済証の交付を受けようとする者は、適合していることを証する書面の交付を、許可権者に求められます(都市計画法施行規則第60条)。

罰金・拘禁刑の公訴時効は3年。時効が過ぎても違法建築は許可を受けたことにならない

都市計画法の罰金・拘禁刑の公訴時効は3年です。

第91条〜第93条の罪は、どれも長期5年未満の拘禁刑又は罰金に当たるため、刑事訴訟法第250条第2項第6号により3年になります。

時効が完成すると、起訴されても免訴の判決になり(同法第337条第4号)、罰則は科されません。

ただし、許可を受けずに建てた建物が時効で許可を受けたことになるわけではありません。

監督処分を定めた第81条には、命令できる期間の定めがありません。

違反の状態が続いていれば、違反から年月がたっていても、是正を命じられることがあります。

違法に建てた建物かどうかは、のちに用途変更の許可を受けるときにも確認されます。

盛土規制法の区域では、盛土規制法の重い罰則も重なる

宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域では、区域の指定後に開発許可を受けた造成は、盛土規制法の許可を受けたものとみなされます(盛土規制法第15条第2項・第34条第2項)。

開発許可を受けずに、盛土規制法の許可が要る大きさの盛土や切土をすると、盛土規制法の許可も受けていないことになります。

盛土規制法の許可を受けずに工事をしたときの罰則は、3年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金です(同法第55条第1項第1号・第2号)。

会社の代表者や従業者などが会社の業務に関して違反したときは、会社に3億円以下の罰金刑が科されます(同法第60条第1号)。都市計画法の罰則(50万円以下の罰金)より、重く定められています。

開発許可を受けた工事でも、中間検査・定期の報告・標識には、開発許可の手続きで代えるみなし規定がありません。

大きさが当てはまる工事で中間検査の申請や定期の報告をしないと、1年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金の対象です(同法第56条第1号・第2号)。標識を掲げない場合は、50万円以下の罰金が定められています(同法第59条)。

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違反を避けるには、着手の前に許可の要否を確かめる

許可が要るかは、計画の段階で確かめられます。着手の前に、次の順で確かめておきましょう。

  1. 計画地の区域区分(市街化区域・市街化調整区域など)と、計画が開発行為に当たるかを確かめる(第29条)
  2. 市街化調整区域なら、計画が第34条(建築だけなら第43条)の許可の基準に当たるかを、事前相談で確かめる
  3. 工事中に計画を変えるときは、変更の許可が要るか、軽微な変更の届出で足りるかを見分ける(第35条の2)
  4. 工事完了の公告の前に建物を建てない(第37条。工事用の仮設建築物など、例外は限られる)

許可の要否の確かめ方は事前調査、窓口との相談は事前相談と事前協議、工事中の変更は工事中の手続きの頁で解説しています。

違反に気づいたときは、早めに許可権者の窓口へ相談しましょう。是正の進め方は自治体の運用によるため、計画地の許可権者に確かめてください。

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まとめ

都市計画法の違反には、罰則と監督処分(是正命令)の2つがあります。

無許可の開発行為や、市街化調整区域での無許可の建築・用途変更は50万円以下の罰金、是正命令に従わないと1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。

  • 罰金・拘禁刑の公訴時効は3年。時効が過ぎても建物が許可を受けたことにはならず、是正命令には期間の定めがない
  • 違反を知って土地や建物を買った人・借りた人も、是正命令の対象になる
  • 自己の居住用の住宅を貸すことは、用途の変更として許可が要ることがある
  • 盛土規制法の区域の無許可の造成には、盛土規制法の罰則(3年以下の拘禁刑又は1,000万円以下の罰金)もかかる

計画の段階で許可の要否を確かめ、判断に迷うときは許可権者に相談しましょう。

参考にした法令・資料

  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項、第29条、第35条の2、第37条、第38条、第41条〜第43条、第47条、第80条〜第82条、第91条〜第96条(e-Gov 法令検索)
  • 都市計画法施行規則(昭和44年建設省令第49号)第59条の2、第60条(e-Gov 法令検索)
  • 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号。都市計画法第91条の改正は2025年6月1日施行)
  • 宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号)第12条、第15条第2項、第30条、第34条第2項、第55条、第56条、第59条、第60条(e-Gov 法令検索)
  • 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第250条、第253条、第337条(e-Gov 法令検索)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条第1項(e-Gov 法令検索)、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第9条第12号(e-Gov 法令検索)
  • 国土交通省「開発許可制度運用指針」(最終改正 令和7年3月19日 国都計第193号)Ⅰ-7-1(20)、Ⅰ-15、Ⅰ-19、Ⅱ-1(2)(国土交通省の掲載PDF)
  • 佐倉市「賃貸の用に供するものへの用途変更」(平成31年4月1日。2026年10月14日閲覧。佐倉市の掲載PDF)
  • 札幌市「監督処分の状況(都市計画法)」(2026年10月14日閲覧。札幌市のページ)
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この記事を書いた人

土質 太郎のアバター 土質 太郎 地盤技術者

建設コンサルタントに長年従事しています。開発許可の申請で設計者が受け持つ調査・協議・設計・検査の進め方を、手続きの流れに沿って解説しています。

■保有資格
・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士