排水施設の設計|下水を有効に排出し、放流先で溢れさせない
排水施設の基準は、開発区域の雨水と汚水を有効に排出し、その排出で区域とその周りを溢れさせないための基準です(第33条第1項第3号)。開発で土地の表面が舗装や屋根に変わると、雨水が早く多く流れ出ます。区域の中の管渠の大きさだけでなく、流す先が受け止められるかまで確かめるのが、この基準の要点です。
この号は、自己の居住用の開発行為を含むすべての開発行為にかかります。この頁では、管渠の大きさを決める降雨の強さ、放流先の確かめ方と調整池、排水施設の構造の基準、排水施設計画平面図に書くことを解説します。
- 根拠の条文
- 都市計画法 第33条第1項第3号、施行令 第26条、施行規則 第22条・第26条
- 国の運用
- 開発許可制度運用指針 Ⅰ-5-4(排水施設に関する基準)
- 申請の設計図
- 排水施設計画平面図(縮尺1/500以上)。流量の計算書は自治体の手引きで求められることがある
- 協議の相手
- 放流先の水路・河川・下水道の管理者(第32条の同意)、新しく設ける排水施設を引き取る者(第32条の協議)
管渠の大きさは、5年に1回の確率の降雨強度以上で決める
排水施設の管渠の勾配と断面積は、5年に1回の確率で想定される降雨強度値以上の値で算定した計画雨水量と、生活や事業に伴う廃水量・地下水量から算定した計画汚水量を、有効に排出できるように定めます(施行規則第22条第1項)。施行令は、開発区域の規模・地形・予定建築物等の用途・降水量などから想定される汚水と雨水を、有効に排出できることを求めています(施行令第26条第1号)。
5年確率は下限です。国の運用指針は、過去の通知が下水道施設設計指針の確率年5〜10年を計画の規模として妥当としていたことを紹介しています。さらに、気候変動で将来の降雨が増えることを踏まえ、雨水管理総合計画策定ガイドライン(案)(令和3年11月)を参考に計画降雨を算定することが望ましく、下流の水路・河川などの管理者と十分に協議しておくことが望ましいとしています(開発許可制度運用指針 Ⅰ-5-4)。どの確率年と降雨強度式を使うかは、自治体の基準と放流先の管理者の基準で確かめましょう。
放流先:能力と利水の状況を勘案して接続する
区域の中の排水施設は、放流先の排水能力・利水の状況などを勘案して、下水道・排水路などの排水施設や、河川などの公共の水域に接続します。放流先の排水能力によりやむを得ないと認められるときは、区域の中に、一時雨水を貯める遊水池などの施設を設けてもよいとされています(施行令第26条第2号)。この施設が、いわゆる調整池です。
- 放流先の名称と管理者(排水施設計画平面図に放流先の名称を書く)
- 放流先の断面・勾配と、流せる量(現地で測り、管理者の資料と照らし合わせる)
- 放流先の下流に、狭い所や溢れた跡がないか
- 農業用の水路なら、利水の状況(取水の時期や水利の関係者)
- 放流先の管理者が求める流出の抑え方(調整池の要否と、許される放流量)
調整池の容量や放流量の決め方は、施行令・施行規則では数値で決まっていません。自治体や河川の管理者の基準で決まるので、放流先の管理者との第32条の協議の中で確かめます。特定都市河川の流域で雨水浸透阻害行為の許可(特定都市河川浸水被害対策法第30条)が要る場合は、両方の許可の基準に合う計画にする必要があるため、国の運用指針は担当部局どうしが十分に連携を図ることが望ましいとしています(開発許可制度運用指針 Ⅰ-5-4)。
汚水は原則として暗渠で排出する
雨水(処理した汚水など、雨水と同じ程度以上にきれいなものを含む)以外の下水は、原則として暗渠で排出できるようにします(施行令第26条第3号)。公共下水道がある区域なら、下水道の管理者の基準で接続を設計します。
排水施設の構造(施行規則第26条)
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 構造と材料 | 堅固で耐久力のある構造。陶器・コンクリート・れんがなどの耐水性の材料で造り、漏水を最少限度にする。崖崩れや土砂の流出の防止上支障がなければ、雨水だけを流す施設は多孔管など雨水を地下へ浸透させる構造にできる |
| 設置する場所 | 公共の用に供する排水施設は、道路など、維持管理上支障がない場所に設ける |
| 管渠の大きさ | 排除する下水や地下水を支障なく流せる勾配と断面積。公共の用に供する排水施設の暗渠の部分は、内径または内のり幅を20cm以上にする |
| ます・マンホール | 下水だけを流す暗渠では、管渠の始まり、流路の方向・勾配・横断面が著しく変わる箇所、管渠の内径または内のり幅の120倍以内の長さごとに設ける。ふたを付け(汚水は密閉できるもの)、雨水のますには深さ15cm以上の泥溜め、ほかにはインバートを設ける |
地下水の排水と、盛土規制法の排水施設
切土や盛土で地下水による崖崩れや土砂の流出のおそれがあるときは、区域の地下水を有効に排出する排水施設を設けます(施行令第28条第7号)。その管渠は、地形から想定される集水地域の面積で算定した計画地下水排水量を排出できるものにします(施行規則第22条第2項)。
盛土規制法の区域では、盛土規制法の技術的基準の排水施設(地表水と地下水を排除するもの)も満たします。盛土・切土をする土地の面積が1,500m²を超える土地の排水施設の設置は、盛土規制法の資格を持つ者が設計します(盛土規制法施行令第21条)。盛土の前の地盤面や切土の後の地盤面に設ける排水施設は、中間検査の対象の工程になることがあります(盛土規制法との関係)。
排水施設計画平面図に書くこと
排水施設計画平面図(縮尺1/500以上)には、次の事項を明示します(施行規則第16条第4項の表)。
- 排水区域の区域界
- 排水施設の位置・種類・材料・形状・内のり寸法・勾配
- 水の流れの方向
- 吐口の位置と、放流先の名称
まとめ
- 管渠は5年確率以上の降雨強度で算定した計画雨水量と、計画汚水量を流せる大きさにする(5年は下限。自治体と管理者の基準を確かめる)
- 放流先の能力と利水の状況を確かめ、足りなければ区域の中で雨水を一時貯める(調整池)
- 汚水は原則として暗渠。公共の暗渠は内径20cm以上、ますは内径の120倍以内ごと
- 盛土規制法の区域では、地下水を含む排水施設の基準と、資格者の設計、中間検査も確かめる
参考にした法令・資料
- 都市計画法(昭和43年法律第100号)第32条、第33条第1項第3号(e-Gov 法令検索)
- 都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第26条、第28条第7号(e-Gov 法令検索)
- 都市計画法施行規則(昭和44年建設省令第49号)第16条第4項、第22条、第26条(e-Gov 法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(昭和37年政令第16号)第21条(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省「開発許可制度運用指針」(最終改正 令和7年3月19日 国都計第193号)Ⅰ-5-4(国土交通省の掲載PDF)
