開発行為の設計|第33条の技術基準と設計図書の全体像
設計は、事前協議で固めた条件をもとに、第33条の技術基準を満たす計画をつくり、申請の設計説明書と設計図にまとめる段階です。開発許可の審査は、この設計が基準に適合しているかを見ます(第33条第1項)。
第33条第1項には14の号があり、開発行為の目的や規模によって、かかる号が違います。数値の基準は施行令と施行規則にあり、自治体が条例で強めたり緩めたりしていることもあります。この頁では、14の号の全体像と設計でかかわる号、基準の重なり方、設計図書の全体像と設計者の資格を整理し、道路・公園・給水、排水施設、造成・擁壁・のり面の3つの頁へつなぎます。
- 根拠の条文
- 都市計画法 第33条(第1項〜第4項)・第31条、施行令 第25条〜第29条の2、施行規則 第16条・第20条〜第27条
- 国の運用
- 開発許可制度運用指針 Ⅰ-5(第33条関係)
- 設計者がすること
- 土地利用・道路・公園・排水・給水・造成の計画をつくる、基準への適合を計算と図で示す、設計説明書と設計図をつくる
- 主な成果
- 設計説明書、施行規則第16条の設計図8種類、計算書(自治体の手引きで求められるもの)
この段階の3つの頁
- 4-1 道路・公園・給水施設の設計|公共施設の配置の技術基準開発行為の設計のうち、道路・公園・給水施設の基準を解説します。第33条第1項第2号・第4号と施行令第25条・施行規則の道路幅員・公園の面積の基準、自治体の基準との関係、32条の協議とのつながりをまとめました。
- 4-2 排水施設の設計|下水を有効に排出し、放流先で溢れさせない開発行為の設計のうち、排水施設の基準を解説します。第33条第1項第3号と施行令第26条・施行規則第22条・第26条の要点、降雨強度と放流先の能力の確かめ方、調整池が要る場面、排水施設計画平面図に書くことをまと…
- 4-3 造成と宅地の安全|擁壁・のり面・地盤の基準と盛土規制法開発行為の設計のうち、宅地の安全の基準を解説します。第33条第1項第7号が盛土規制法の技術的基準につながる仕組み、がけと擁壁の基準、がけの断面図と擁壁の断面図に書くこと、軟弱地盤と盛土の注意点をまとめま…
第33条第1項の14の号と、かかる開発行為
第33条第1項の号は、開発行為の目的(自己の居住用か、自己の業務用か、それ以外か)と規模で、かかるかどうかが変わります。設計で満たす号と、申請者や工事施行者にかかわる号を分けて見ると整理しやすくなります。
| 号 | 中身 | かからない・かかる範囲 |
|---|---|---|
| 第1号 | 予定建築物等の用途が、用途地域などの用途の制限に適合する | 用途地域などが定められている区域など |
| 第2号 | 道路・公園・広場などの公共の空地(消防の貯水施設を含む)の配置 | 自己の居住用の開発行為にはかからない |
| 第3号 | 排水施設の構造と能力 | すべての開発行為 |
| 第4号 | 水道などの給水施設の構造と能力 | 自己の居住用の開発行為にはかからない |
| 第5号 | 地区計画などの内容に即した設計 | 地区計画などが定められている区域 |
| 第6号 | 公共施設・学校などの公益的施設・予定建築物の用途の配分 | 開発行為の目的に照らして |
| 第7号 | 地盤の改良・擁壁・排水施設など安全上必要な措置。盛土規制法の区域では盛土規制法の基準 | すべての開発行為 |
| 第8号 | 災害危険区域などを開発区域に含まない | 自己の居住用の開発行為にはかからない |
| 第9号・第10号 | 樹木の保存・表土の保全、緩衝帯 | 政令で定める規模以上の開発行為 |
| 第11号 | 道路・鉄道などによる輸送の便 | 政令で定める規模以上の開発行為 |
| 第12号 | 申請者の資力・信用 | 自己の居住用などにはかからない(盛土規制法の許可が要る工事などを除く) |
| 第13号 | 工事施行者の能力 | 第12号と同じ |
| 第14号 | 開発行為の妨げとなる権利を持つ者の相当数の同意 | すべての開発行為 |
第12号と第13号は、2023年5月の盛土規制法の施行にあわせて、自己の居住用や小規模な自己の業務用でも、工事に盛土規制法の許可(第12条第1項・第30条第1項)が要るなら対象になる形に改められています。盛土規制法の区域では、自己用の開発行為でも資力・信用と工事施行者の能力の書類が要ることがあります。
基準は「施行令・施行規則」「条例」「自治体の審査基準」の3層
第33条第2項は、各号の基準を適用するための技術的細目を政令に委ねています(施行令第25条〜第29条、施行規則第20条〜第27条)。そのうえで、地方公共団体は条例で、政令の基準に従って技術的細目の制限を強めたり緩めたりできます(第33条第3項・施行令第29条の2)。さらに自治体は、審査基準や手引きで具体の数値を示しています。
- 施行令・施行規則:全国共通の最低限の基準(道路の幅員、公園の面積、管渠の降雨強度、擁壁が要るがけなど)
- 条例:その自治体で強めた・緩めた基準(道路の幅員の最低限度、公園の面積の割合など)
- 審査基準・手引き:施行令・施行規則に数値の無い事項の具体の基準(袋路状の道路の長さ、調整池の容量の決め方など)
設計の数値は、3つを並べて確かめてから決めます。国の運用指針は、要綱による行政指導で政省令の基準を超える制限を開発許可にからめて求めることは、法律の趣旨から逸脱するとしています(開発許可制度運用指針 Ⅰ-5-12)。協議で求められた基準の根拠を確かめておくことも、設計者の仕事です。
設計図書の全体像と、作る人の資格
申請書の「設計」は、設計説明書と設計図で定めます(施行規則第16条)。設計図は、現況図・土地利用計画図・造成計画平面図・造成計画断面図・排水施設計画平面図・給水施設計画平面図・がけの断面図・擁壁の断面図の8種類で、図面ごとに明示する事項と縮尺が決まっています。表の中身は開発許可申請の頁にまとめています。
開発区域が1ha以上の開発行為の設計図書は、施行規則第19条の資格を持つ者が作成したものでなければなりません(第31条・施行規則第18条)。盛土規制法の区域では、高さ5mを超える擁壁と、盛土・切土の面積が1,500m²を超える土地の排水施設について、盛土規制法の資格も要ります(盛土規制法施行令第21条・第22条)。
設計の進め方
区画・道路・公園・調整池などの配置を決めます。道路の接続先と雨水の放流先は、計画全体を縛るので最初に決めます。
道路の縦断勾配、排水の勾配、がけと擁壁の高さが成り立つように、宅地と道路の計画高を決めます。切土と盛土の量の釣り合いも見ます。
道路・公園・給水、排水施設、擁壁とのり面を、それぞれの基準で設計し、計算で確かめます。
設計説明書と8種類の設計図、計算書をつくり、面積・幅員・高さ・流量などの数値がどの図書でも同じかを確かめます。
まとめ
設計の段階では、第33条第1項のうち開発行為にかかる号を見極め、施行令・施行規則・条例・自治体の審査基準を重ねた基準で計画をつくり、施行規則第16条の設計図書にまとめます。
- 14の号は、自己の居住用・自己の業務用・それ以外と、規模でかかり方が違う
- 排水(第3号)と安全上の措置(第7号)と相当数の同意(第14号)は、すべての開発行為にかかる
- 数値は施行令・施行規則・条例・審査基準の3層で確かめる
- 1ha以上は資格のある者の設計。盛土規制法の区域では盛土規制法の資格も確かめる
参考にした法令・資料
- 都市計画法(昭和43年法律第100号)第31条、第33条(e-Gov 法令検索)
- 都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第25条〜第29条の2(e-Gov 法令検索)
- 都市計画法施行規則(昭和44年建設省令第49号)第16条、第18条〜第27条(e-Gov 法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(昭和37年政令第16号)第21条、第22条(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省「開発許可制度運用指針」(最終改正 令和7年3月19日 国都計第193号)Ⅰ-5-12(国土交通省の掲載PDF)
