第32条の同意と協議|公共施設の管理者との協議の進め方
第32条の手続きは、開発許可を申請する前に、公共施設の管理者と話をつけておく段階です。条文は「あらかじめ」と書いており、申請書には同意を得たことを証する書面と、協議の経過を示す書面を添えます(第30条第2項)。この手続きが終わらないと、申請の書類がそろいません。
第32条には、既存の公共施設の管理者の「同意」(第1項)と、新しく設ける公共施設を管理することとなる者との「協議」(第2項)の2つがあります。相手も、申請に添える書面も違います。この頁では、2つの違い、協議の相手の洗い出し方、協議で決めること、進め方とつまずきやすい点を解説します。協議で決めた管理者と土地の帰属は、工事が終わったあとの公共施設の引継ぎにそのままつながります。
- 根拠の条文
- 都市計画法 第32条・第30条第2項、施行令 第23条
- 相手
- 開発行為に関係がある公共施設の管理者(道路・河川・水路・下水道などの管理者)、新しく設ける公共施設を管理することとなる者。開発区域が20ha以上なら、義務教育施設の設置義務者や水道事業者なども加わる
- 設計者がすること
- 関係する公共施設と管理者を洗い出す、協議用の計画図をつくる、管理者の基準に合わせて計画を直す、協議の記録を残す
- 主な成果
- 同意を得たことを証する書面(同意書)、協議の経過を示す書面(協議書など)
第1項の「同意」と第2項の「協議」は、相手と結果が違う
第32条の2つの手続きは、似た言葉でも求める結果が違います。第1項は同意を得るところまで、第2項は協議をするところまでを求めています。
| 項目 | 第1項(同意) | 第2項(協議) |
|---|---|---|
| 相手 | 開発行為に関係がある公共施設の管理者 | 開発行為や工事で設置される公共施設を管理することとなる者と、政令で定める者(施行令第23条) |
| 求められること | 協議し、その同意を得る | 協議する |
| 申請に添える書面 | 同意を得たことを証する書面 | 協議の経過を示す書面 |
| 相手の例 | 雨水を流す既存の水路や河川の管理者、開発区域の道路をつなぐ既存の道路の管理者 | 開発区域の中に新しくつくる道路・公園・下水道などを引き取る市町村 |
第3項は、管理者の側にも、公共施設の適切な管理を確保する観点から協議に応じることを求めています。管理者の基準に合わない計画は同意を得にくいので、協議は設計の早い段階から始めておくと手戻りが減ります。
協議の相手は「公共施設」の範囲から洗い出す
都市計画法の公共施設は、道路・公園と、施行令が定める施設です(第4条第14項・施行令第1条の2)。
- 道路
- 公園・緑地・広場
- 下水道
- 河川・運河・水路
- 消防の用に供する貯水施設
洗い出すときは、開発区域の中だけでなく外も見ます。次の3つに分けて一覧にすると、相手の見落としが減ります。
- 区域の中にある既存の公共施設:付け替える、廃止する、そのまま残す水路や道路
- 区域の外で関係する公共施設:区域の道路をつなぐ道路、雨水や汚水を流す水路・河川・下水道
- 新しく設ける公共施設:区域の中につくる道路・公園・調整池・下水道など
1と2の管理者は第1項の同意、3を管理することとなる者は第2項の協議の相手になります。既存の公共施設の管理者は、道路台帳や下水道台帳、河川・水路の管理の区分で確かめます。管理者が分からない水路は、現地調査の段階で市町村に問い合わせておきましょう。
開発区域が20ha以上なら、協議の相手が増える
開発区域が20ha以上の開発行為は、施行令第23条が定める者とも協議します。40ha未満なら第1号と第2号だけです。
| 開発区域の面積 | あわせて協議する者(施行令第23条) |
|---|---|
| 20ha以上 | 区域に住むことになる人に関係がある義務教育施設の設置義務者、区域を給水区域に含む水道事業者 |
| 40ha以上 | 上の2つに加え、一般送配電事業者・配電事業者・一般ガス導管事業者、関係がある鉄道事業者・軌道経営者 |
協議で決めること:構造・管理者・土地の帰属・費用
協議では、公共施設の形だけでなく、工事が終わったあとの扱いまで決めます。後の引継ぎで揉めないよう、決めたことを協議書に残しておきます。
| 決めること | 中身 | 関係する条文 |
|---|---|---|
| 構造と規模 | 道路の幅員・舗装、水路の断面、接続の方法、調整池の容量など。第33条の技術基準と、管理者の基準の両方に合わせる | 第33条 |
| 工事の方法と時期 | 既存の道路や水路に手を入れる工事の範囲と時期。道路や河川の工事は、それぞれの法律による許可や承認が別に要ることがある | ― |
| 管理者 | 完了公告の翌日から、原則として市町村が管理する。他の法律による管理者がいるとき、協議で別に定めたときはその者 | 第39条 |
| 土地の帰属 | 公共施設の用地は、原則として管理する者に帰属する。従前の公共施設を付け替える場合は、従前の国・地方公共団体の土地が開発許可を受けた者に、新しい用地が国・地方公共団体に帰属する | 第40条第1項・第2項 |
| 費用の負担 | 市街化区域で、幅員12m以上の道路など都市計画施設の主要な公共施設の用地が帰属するときの費用。協議で別に定めることができる | 第40条第3項・施行令第32条 |
同意と協議の進め方
手続きの名前や様式は自治体で違いますが、設計者の作業はおおむね次の順になります。自治体によっては、事前協議の中で関係課として第32条の協議を進める形もあります。
上の3つの分け方で公共施設を洗い出し、管理者と窓口を書き込みます。区域の外の放流先は、下流のどこまでを協議に含めるかも管理者に確かめます。
土地利用計画図、道路や排水の計画図、接続部の詳細、流量の計算など、管理者が判断に使う資料をそろえます。
管理者の基準に合わない点を直し、直した図で協議を続けます。道路と排水の計画は互いに影響するので、片方を直したらもう片方も見直します。
同意書には、同意した計画の図面が特定できるようにしておきます。協議で決めた管理者・帰属・費用の取り決めは、協議書に書き残します。
つまずきやすい点
- 申請の後に回してしまう:第32条は申請の「あらかじめ」の手続きです。同意書と協議の経過を示す書面が無いと、申請書の添付がそろいません
- 同意と協議を取り違える:既存の公共施設の管理者からは同意が要ります。新しく設ける施設の協議だけで済ませないようにします
- 区域の外の放流先を見落とす:雨水を流す下流の水路や河川の管理者は、区域の外でも同意の相手になります
- 計画を変えたときにやり直さない:許可の後で公共施設に関する事項を変えるときは、第32条の規定が準用され、協議と同意をやり直します(第35条の2第4項)
- 取り決めを書面に残さない:管理者・帰属・費用の取り決めは、工事が終わってからの引継ぎで効いてきます
まとめ
第32条の手続きは、開発許可の申請の前に、既存の公共施設の管理者の同意を得て、新しく設ける公共施設を管理することとなる者と協議しておく段階です。
- 区域の中・区域の外・新設の3つに分けて、公共施設と管理者を洗い出す
- 既存の公共施設は同意(第1項)、新しく設ける公共施設は協議(第2項)
- 管理者・土地の帰属・費用は、第39条・第40条を踏まえて協議書に残す
- 同意書と協議の経過を示す書面を、許可申請に添える
参考にした法令・資料
- 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第14項、第30条第2項、第32条、第35条の2第4項、第39条、第40条(e-Gov 法令検索)
- 都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第1条の2、第23条、第32条(e-Gov 法令検索)
