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盛土規制法と開発許可の関係|みなし許可・中間検査・定期報告・完了検査

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)の規制区域で開発許可を受けると、盛土規制法の許可を受けたものとみなされます。盛土規制法の許可を別に申請しなくてよい一方で、すべての手続きが開発許可に置き換わるわけではありません。

結論から書くと、許可・変更・完了検査は、都市計画法の手続きが盛土規制法の手続きとみなされます。中間検査・定期報告・標識には、開発許可の手続きで代えるみなし規定がありません。規模と工程が当てはまれば、開発許可の工事でも盛土規制法の手続きを行います。この頁では、2つの区域と許可が要る工事、みなし規定のある手続きと無い手続き、設計者が各段階で確かめることを、条文に沿って整理します。

この頁の位置づけ
根拠の法令
宅地造成及び特定盛土等規制法 第15条・第16条・第17条・第18条・第19条・第27条・第34条〜第38条・第49条、都市計画法 第33条第1項第7号
関係する段階
事前調査(区域の確認)、設計(技術的基準)、許可申請、工事中の手続き(中間検査・定期報告・標識)、完了検査
設計者がすること
区域と工事の規模を確かめる、盛土規制法の技術的基準に合う設計をする、中間検査と定期報告を工程に組み込む
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盛土規制法の2つの区域と、許可が要る工事

盛土規制法の規制は、都道府県知事(指定都市・中核市は市長)が指定する2つの区域で効きます。区域によって、許可が要る工事の大きさが違います。

区域どんな区域か許可が要る工事
宅地造成等工事規制区域市街地や集落と、その周辺で、盛土などで災害が起きるおそれが大きい区域(第10条)宅地造成・特定盛土等・土石の堆積のうち、政令で定める規模のもの(第12条)
特定盛土等規制区域上の区域の外で、盛土などが崩れると市街地などの住民に危害が及ぶおそれが特に大きい区域(第26条)大規模な崖崩れや土砂の流出を生じさせるおそれが大きい規模のもの(第30条)。それより小さいものは着手の30日前までの届出(第27条)

宅地造成等工事規制区域で許可が要る「宅地造成」と「特定盛土等」の大きさは、施行令第3条が決めています。次のどれかに当たれば対象です。

  • 盛土で、高さ1mを超える崖ができる
  • 切土で、高さ2mを超える崖ができる
  • 盛土と切土を同時にして、高さ2mを超える崖ができる
  • 上に当たらない盛土で、高さが2mを超える
  • 上のどれにも当たらない盛土・切土で、面積が500m²を超える

特定盛土等規制区域で許可が要る大きさは、後の節「中間検査と定期報告が要る大きさと時期」の表と同じ基準です(施行令第28条が第23条を引いています)。

開発許可を受けると、盛土規制法の許可を受けたものとみなされる

盛土規制法は、開発許可を受けた工事について、盛土規制法の許可を受けたものとみなす規定を置いています。

  • 宅地造成等工事規制区域:区域の指定後に、宅地造成または特定盛土等について開発許可(都市計画法第29条第1項・第2項)を受けたときは、第12条第1項の許可を受けたものとみなす(第15条第2項)
  • 特定盛土等規制区域:区域の指定後に、特定盛土等について開発許可を受けたときは、第30条第1項の許可を受けたものとみなす(第34条第2項)。開発許可を申請したときは、第27条第1項の届出をしたものとみなす(第27条第5項)

みなされるのは、区域の指定後に受けた開発許可です。指定の前に受けた開発許可はみなされません。指定の前に許可を受けて指定の後に着手する工事の扱いは、旧宅地造成等規制法の規制区域の内か外かで分かれる例があります(大阪府の盛土規制法の FAQ)。また、対象は宅地造成と特定盛土等で、土石の堆積(一定期間ののちに取り除く仮置き)は条文に含まれていません。工事の中に土石の堆積がある場合は、別に盛土規制法の手続きが要るかを窓口で確かめましょう。

変更で初めて規模に当たる工事は、みなしにならない

当初の開発許可では盛土規制法の規模に当たらず、みなしになっていなかった工事が、計画の変更で規模に当たるようになることがあります。大阪府は、この場合は都市計画法の変更の許可を受けただけではみなしにならず、変更の許可の申請と同時に、盛土規制法の許可を新たに受ける必要があると説明しています(大阪府の盛土規制法の FAQ)。盛土規制法の変更のみなし規定(第16条第5項)は、もともと第15条第2項でみなされた工事の変更を扱う規定だからです。盛土や切土の高さが変わる変更は、施行令第3条の規模を超えないかを確かめてから進めます。

みなしが成り立つのは、開発許可の基準に盛土規制法の基準が入っているから

開発許可の基準である都市計画法第33条第1項第7号は、開発区域が盛土規制法の区域にかかるとき、工事の計画が盛土規制法の技術的基準に適合していることを求めています。

開発区域がかかる区域対象の工事適合を求める基準
宅地造成等工事規制区域開発行為に関する工事盛土規制法 第13条
特定盛土等規制区域盛土規制法第30条第1項の規模(条例で定めたときはその規模)の開発行為に関する工事盛土規制法 第31条

開発許可の審査の中で盛土規制法の技術的基準まで確かめるので、盛土規制法の許可を重ねて受けなくてよい、という仕組みです。設計者から見ると、開発許可の設計の段階で、盛土規制法の技術的基準(擁壁・崖面・排水施設・地盤)を満たしておく必要があります。中身は造成・擁壁・のり面の頁で解説します。

みなし規定がある手続きと、無い手続き

許可がみなされても、盛土規制法の手続きが全部なくなるわけではありません。都市計画法の手続きで代わるのは、盛土規制法がみなし規定を置いているものだけです。

盛土規制法の手続き条文(規制区域/特定盛土等規制区域)開発許可を受けた工事では
許可第12条第1項/第30条第1項開発許可で受けたものとみなす(第15条第2項/第34条第2項)
届出―/第27条第1項開発許可の申請で届け出たものとみなす(第27条第5項)
変更の許可・届出第16条/第35条都市計画法第35条の2の変更の許可・届出を、盛土規制法の変更の許可・届出とみなす(第16条第5項/第35条第5項)
完了検査第17条/第36条都市計画法第36条の工事完了の届出と検査済証を、盛土規制法の申請と検査済証とみなす(第17条第3項/第36条第3項)
中間検査第18条/第37条みなし規定なし。規模と工程が当てはまれば受ける
定期の報告第19条/第38条みなし規定なし。規模が当てはまれば報告する
標識の掲示第49条みなし規定なし。許可を受けた工事主が掲げる

中間検査と定期報告に当たる手続きは都市計画法に無く、盛土規制法にも開発許可の手続きで代えるみなし規定がありません。国の通知も、許可を受けたものとみなす工事のうち規模要件を満たすものは、中間検査と定期報告の対象になるとしています(宅地造成及び特定盛土等規制法の施行に当たっての留意事項について(技術的助言)、別紙 第4の3(9))。同じ箇所で、開発許可の部局と盛土規制法の部局が情報を共有し、工事主に手続きの違いを伝えるよう求めています。申請先の課や様式は自治体で違うので、事前協議のうちに確かめておきましょう。

盛土規制法の住民への周知(第11条)は、盛土規制法の許可を申請するときの義務です。開発許可でみなされる工事での扱いは条文からは決まらないので、許可権者に確かめておきます。

中間検査と定期報告が要る大きさと時期

中間検査と定期報告が要る大きさは、施行令第23条(定期報告は第25条が第23条を引用)で決まっています。宅地造成の基準より一段大きい値です。

工事の形宅地造成・特定盛土等(施行令第3条)中間検査・定期報告(施行令第23条)
盛土で崖ができる崖の高さ 1m超崖の高さ 2m超
切土で崖ができる崖の高さ 2m超崖の高さ 5m超
盛土と切土を同時にして崖ができる崖の高さ 2m超崖の高さ 5m超
崖ができない盛土高さ 2m超高さ 5m超
上のどれでもない盛土・切土面積 500m²超面積 3,000m²超

都道府県は、条例でこの大きさを小さくしたり、検査する工程を足したりできます(第18条第4項・第19条第2項)。事前調査の段階で、その自治体の条例を確かめましょう。

中間検査:排水施設を埋める前に検査を受ける

中間検査の対象になる工程(特定工程)は、盛土をする前の地盤面か、切土をした後の地盤面に排水施設を設ける工事の工程です(施行令第24条第1項)。排水施設の周りを砕石などで埋める工事は、中間検査合格証の交付を受けた後でなければできません(第18条第3項・施行令第24条第2項)。申請は、特定工程の工事を終えた日から4日以内です(施行規則第45条)。

暗渠排水などの地下の排水施設は、埋めると確かめられなくなります。設計者は、どの排水施設がいつ特定工程になるかを工程表に書き込み、施工者と共有しておくと、検査待ちで工事が止まる時間を見込めます。

定期の報告:3か月ごとに工事の状況を報告する

定期の報告の期間は3か月です(施行規則第49条)。報告では、報告の時点の盛土・切土の高さ、面積、土量と、擁壁などの工事の進み具合を報告し、土地とその付近の状況が分かる写真などを付けます(施行規則第48条・第50条)。

3か月をいつから数えるかは条文に書かれていません。大阪府は、許可日から3か月ごととしています(大阪府の盛土規制法の FAQ)。着手の前でも報告の時期が来ることがあるので、起算日は許可権者に確かめましょう。

標識:許可を受けた工事主が現場に掲げる

標識には、工事主、許可の年月日と番号、工事施行者、現場管理者、着手と完了の予定日、区域の見取図、盛土・切土の高さと面積と土量、問合せ先などを書きます(第49条・施行規則第87条)。宅地造成・特定盛土等の工事の標識の様式は、施行規則の別記様式第23です。

設計者が段階ごとに確かめること

盛土規制法の手続きは、開発許可の流れの中で、次の段階ごとに確かめます。

段階確かめること
事前調査開発区域が2つの区域のどちらかにかかるか。区域が指定された日。条例で大きさや工程が変えられていないか
事前相談・事前協議盛土規制法の担当の課。中間検査・定期報告・標識の様式と出し先。土石の堆積の扱い
設計盛土規制法の技術的基準への適合。高さ5mを超える擁壁や、盛土・切土の面積が1,500m²を超える土地の排水施設を、資格のある者が設計しているか(第13条第2項・施行令第21条・第22条)
工事中の手続き特定工程の時期と中間検査の申請、3か月ごとの定期の報告、標識の掲示、計画を変えるときの変更の許可・届出
完了検査都市計画法第36条の検査済証が、盛土規制法の検査済証とみなされること

まとめ

盛土規制法の区域で開発許可を受けた工事は、盛土規制法の許可を受けたものとみなされ、変更と完了検査も都市計画法の手続きで済みます。中間検査・定期報告・標識には、みなし規定がありません。

  • 区域(宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域)と指定日を、事前調査で確かめる
  • 開発許可の設計で、盛土規制法の技術的基準を満たす(都市計画法第33条第1項第7号)
  • 崖の高さ・盛土の高さ・面積が施行令第23条の大きさを超えるなら、中間検査と3か月ごとの定期の報告を工程に組み込む
  • 土石の堆積はみなしの対象外。工事に含まれるなら窓口で扱いを確かめる

参考にした法令・資料

  • 宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号)第2条、第10条、第12条、第13条、第15条〜第19条、第26条、第27条、第30条、第31条、第34条〜第38条、第49条(e-Gov 法令検索)
  • 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(昭和37年政令第16号)第3条、第21条〜第25条、第28条、第32条、第33条(e-Gov 法令検索)
  • 宅地造成及び特定盛土等規制法施行規則(昭和37年建設省令第3号)第45条、第48条〜第50条、第87条(e-Gov 法令検索)
  • 国土交通省都市局長ほか「宅地造成及び特定盛土等規制法の施行に当たっての留意事項について(技術的助言)」令和5年5月26日 国官参宅第12号ほか、別紙 第4の3(9)(国土交通省の掲載PDF)
  • 大阪府「盛土規制法に関するよくある質問」(開発許可とみなし許可、定期報告の起算日。2026年10月13日に閲覧)(大阪府のページ)
  • 都市計画法(昭和43年法律第100号)第29条、第33条第1項第7号、第35条の2、第36条(e-Gov 法令検索)
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この記事を書いた人

土質 太郎のアバター 土質 太郎 地盤技術者

建設コンサルタントに長年従事しています。開発許可の申請で設計者が受け持つ調査・協議・設計・検査の進め方を、手続きの流れに沿って解説しています。

■保有資格
・地質調査技士(現場技術・管理部門)
・1級土木施工管理技士
・地盤品質判定士