開発許可の手続きの流れ|事前調査から完了公告・公共施設の引継ぎまで
開発許可の手続きは、都市計画法の条文が決めている段階(第32条の同意と協議、第29条の許可申請、第36条の完了検査など)と、自治体の条例・要綱が決めている段階(事前相談・事前協議など)が組み合わさってできています。設計者は、そのほとんどの段階で図面や資料をつくり、相手との協議を受け持ちます。
この頁では、手続きを9つの段階に分けて全体の流れを示し、段階ごとの根拠の条文、相手、設計者がすること、成果を一覧にします。盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)の区域では、いくつかの段階で盛土規制法の手続きが重なるので、その重なり方も整理します。各段階の詳しい解説へは、下の流れの図の見出しから進めます。
開発許可の手続きの流れ
前提の頁で盛土規制法との関係を整理したうえで、事前調査から公共施設の引継ぎまでを9つの段階に並べています。見出しを選ぶと、各段階の解説へ進みます。
盛土規制法との関係
盛土規制法の規制区域で開発許可を受けると、盛土規制法の許可を受けたものとみなされます。みなされたあとも中間検査と定期報告の対象になるかを、段階ごとに整理します。
段階ごとの根拠・相手・設計者がすること
| 段階 | 根拠(法定か) | 主な相手 | 設計者がすること | 主な成果 |
|---|---|---|---|---|
| 1 事前調査 | 法定の手続きではない(判断の基準は第4条第12項・第29条・施行令第19条など) | ― | 許可の要否の判断、規制の洗い出し | 要否の判断と根拠、手続きの一覧 |
| 2 現地調査と測量 | 法定の手続きではない | 土地の所有者・隣接地の所有者、道路と水路の管理者 | 境界・地形・公共施設・放流先・地盤・権利者の確認 | 現況測量図、調査の記録 |
| 3 事前相談と事前協議 | 自治体の条例・要綱・細則 | 許可の窓口、関係課 | 計画の資料づくり、指摘の反映、協議の記録 | 協議の結果(協議書など) |
| 4 設計 | 第33条、施行令第25条〜第29条の2、施行規則第16条・第20条〜第27条 | ― | 技術基準を満たす計画、設計説明書と設計図 | 設計図書、計算書 |
| 5 第32条の同意と協議 | 法定(第32条、施行令第23条) | 公共施設の管理者、新しく設ける公共施設を管理することとなる者 | 公共施設と管理者の洗い出し、協議用の図面 | 同意書、協議の経過を示す書面 |
| 6 開発許可申請 | 法定(第29条〜第35条、施行規則第15条〜第19条) | 許可権者(都道府県知事・指定都市等の長など) | 申請図書の作成と整合、審査の指摘への対応 | 開発許可の通知 |
| 7 工事中の手続き | 法定(第35条の2・第37条・第38条など) | 許可権者、盛土規制法の窓口 | 変更の許可・届出の図書、中間検査の時期の調整 | 変更の許可・届出、中間検査合格証 |
| 8 完了検査と完了公告 | 法定(第36条、施行規則第29条〜第31条) | 許可権者 | 検査の資料(出来形の図面・写真など) | 検査済証、工事完了の公告 |
| 9 公共施設の引継ぎ | 法定(第39条・第40条) | 公共施設を引き取る市町村など | 引継ぎの図面と用地の資料 | 管理の引継ぎ、用地の帰属 |
第32条の同意は、申請の前に済ませる
申請書には、第32条の同意を得たことを証する書面と、協議の経過を示す書面を添えます(第30条第2項)。このため、第32条の同意と協議は、許可申請の前に済ませる段階です。自治体によっては、事前協議と並行して第32条の協議を進めます。
盛土規制法の区域で重なる手続き
開発区域が盛土規制法の区域にかかると、開発許可で盛土規制法の許可を受けたものとみなされます(盛土規制法第15条第2項・第34条第2項)。それでも、段階ごとに次の手続きが重なります。
| 段階 | 重なる手続き・基準 |
|---|---|
| 1 事前調査 | 区域の指定の有無と指定日、条例による上乗せ |
| 4 設計 | 盛土規制法の技術的基準(都市計画法第33条第1項第7号から)、盛土規制法の資格による設計 |
| 7 工事中の手続き | 中間検査・定期の報告・標識(みなし規定が無い)。変更の許可・届出はみなされる |
| 8 完了検査 | 都市計画法の完了検査が、盛土規制法の完了検査とみなされる |
詳しくは盛土規制法との関係の頁で、条文に沿って整理しています。
自治体によって違うところ
開発許可は全国共通の法律による制度ですが、運用の細部は許可権者ごとに違います。次の点は、計画地の自治体の手引きと窓口で確かめましょう。
- 事前相談・事前協議の有無、名前、順番と、協議の結果の有効期間
- 第32条の協議を、事前協議と並行して進められるか
- 申請の窓口と、市町村を経由するか
- 技術基準を条例で強めていないか、審査基準や手引きの数値
- 申請図書の様式・部数と、計算書などの添付
- 標準処理期間(国の運用指針は、開発審査会の議を経る場合を除き、申請の受付から許可処分まで原則1か月以内とするのが適切としている。横浜市は手引きで開発許可を50日としている)
- 盛土規制法の中間検査・定期の報告(起算日)・標識の窓口と様式
まとめ
開発許可の手続きは、事前調査・現地調査・事前相談と事前協議・設計・第32条の同意と協議・許可申請・工事中の手続き・完了検査と完了公告・公共施設の引継ぎの9つの段階で進みます。法定の段階と自治体の決まりによる段階を区別し、盛土規制法の区域では重なる手続きを段階ごとに確かめることが、手戻りを減らす近道です。
参考にした法令・資料
- 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条、第29条〜第40条(e-Gov 法令検索)
- 都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)、都市計画法施行規則(昭和44年建設省令第49号)(施行令・施行規則、e-Gov 法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号)第15条〜第19条、第34条〜第38条(e-Gov 法令検索)
- 国土交通省「開発許可制度運用指針」(最終改正 令和7年3月19日 国都計第193号)Ⅱ-1(1)(国土交通省の掲載PDF)
- 横浜市「開発許可の手引き 手続編」標準処理期間(2026年10月13日に閲覧)(横浜市の掲載PDF)
